著者 村田沙耶香
出版社 文藝春秋
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概要
36歳、女、独身、コンビニ勤務の古倉さん。優秀であるが、他のことには関心を示しません。機械のような彼女は職場では浮いた存在でした。とあることから、その気もないのに男と同棲することになります。そこから周りの彼女への対応が変わっていくのですが・・・。2016年芥川賞受賞作。
感想
興味深い作品ですね。読み終わって残るのは、爽快感や充実感ではありません。なにかこう・・・「珍しいもの見れた」というようなちょっとしたワクワクです。「この人の作風がきになる」。そう思い、の別の作品を読む結果になりました。
異端者、異物の扱われ方
仕事熱心なのに、他のことは無頓着。その徹底っぷりは異常です。俗に言う「普通ではない」人物です。その彼女に寄生する白村さんがこれまた酷い!養ってもらっている恩を感じるどころか、女性の尊厳を汚すような暴言を連発します。クズの見本市のような男です(笑)。この白村さんと古倉さんのやりとりが面白い!
人は異様な物を排除しようとするものですが、度を超えると触れなくなりますね。そんなものでも、少し普通な一面が見えると近づき出します。昨今「多様性」を認めようとする風潮があります。それはもちろん素晴らしいことで、目指すべきことだと思います。ただそれは、根本的に努力しないとできないのかもしれません。自らとの共通項、「普遍性」を見つけて安心感を得るというのが、我々には自然に備わっている気がします。他者の違いを認めあえるのは、その次の段階でしょう。
オススメする方は
- 少し変わったストーリーと雰囲気を味わいたい方
- 長編が苦手な方(200ページもないです)
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