「叙述トリック」を使っているとされるミステリーをいくつか読んでみた感想です。
『イニシエーション・ラブ』
著者 乾くるみ
発行所 株式会社文藝春秋
定価 本体580円+税
概要
合コンで出会った男女の恋愛ストーリー。しかし最後の最後で物語の様相が全く変わります。
感想
俗にいう「どんでん返し」のストーリーです。全容を明かさずに終わるので、理解するまで時間がかかりました。最後の二行目の意味が分かったときはスッキリします。黒い話でもあります。
ただ、本筋や会話のやり取りは一般的な恋人同士のそれですので、そこの面白みには欠けるかと思います。
『仮面山荘殺人事件』
著者 東野圭吾
発行所 株式会社講談社
定価 本体533円+税
概要
八人の男女が集まる山荘に、逃走中の銀行強盗が侵入。人質として拘束されている間に殺人事件が起きてしまう。強盗犯は否定。男女は互いを疑い始める。
感想
これも「どんでん返し」のストーリーですね。サスペンスです。もう少し本筋に厚みがあればというところですね。
『殺戮にいたる病』
著者 我孫子武丸
出版所 株式会社講談社
定価 770円(税込み)
概要
女性ばかりを狙った連続殺人事件。次第に猟奇的になっていく手口。犯人、元刑事、家族の視点から書かれています。
感想
これは最後の最後で全容が分かるようになっています。表現が結構グロテスクなのでご注意を。
『葉桜の季節に君を想うということ』
著者 歌野晶午
発行所 株式会社文藝春秋
定価 本体667円+税
概要
「何でもやってやろう屋」を自称する成瀬将虎。フィットネスクラブ仲間の愛子から、元探偵という経歴に期待され、悪質な霊感商法の調査を依頼される。そんなときに、飛び込み自殺を図ろうとした女性を救うのだが・・・。
内容
本著の叙述トリックは、内容の意味がひっくり返るものではありません。終盤から全容を明かすものとなっています。本筋が面白いですね。霊感商法の会社を突き止めるサスペンスとなっています。
最後の方にトリックが明かされるのですが、どちらかというと、ネタが明かされるまでの展開の方が好きです。
『ハサミ男』
著者 殊能将之
発行所 株式会社講談社
定価 本体980円+税
概要
連続美少女殺人事件の犯人とされる俗称「ハサミ男」。三件目の事件が起きるが、それはこれまでの事件を真似た模倣犯の仕業だった。本物のハサミ男、警察の視点から描いた、予想を裏切るホラーミステリー。
感想
内容は凄惨なんですが、そこまでグロテスクな描写はありません。登場人物のやりとりも面白く、読んでいて引き込まれる内容でした。終盤の展開も良い。好きな作品ですね。
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