『35歳の教科書 今から始める戦略的人生計画』

著者 藤原和博
発行所 株式会社筑摩書房
定価 本体価格800円+税

概要

皆が物質的に豊かになることを目指していた時代。その頃は良い大学を出て、良い会社に入れば間違いのない人生を送ることができた時代でした。しかし現代は状況が変わりました。モノが溢れ豊かになりましたが、経済は低迷し、終身雇用も崩れました。そんな時代に個々人が求めているのは自分らしい生き方です。皆が同じ目標をもって生きる時代から、個々がオリジナリティを目指して生きる時代となったのです。
本著では、年代ごとに身に付けておくべき力を紹介し、著者の人生を交えながら、現代を生きるために個人が用いるべき戦略を説いています。

感想

タイトルに35歳の~とありますが、内容としては20代、10代でも読んでタメになる内容です。おそらく35歳というのは、子供時代に成長主義社会を過ごし、社会人になり成熟社会になるという、まさに転換期を肌で感じている年齢だからではないでしょうか。
本著の主張をざっくりまとめると

  • ためらわずに行動し、修正しながらゴールを目指そう
  • 会社や組織に頼らず、自分で生きていける力を身に付けよう

というものです。具体的な行動を示している書籍ではなく、心構えを示してくれている書籍ですね。
考え方をこの本で学んで、実際にどういう行動をしていくかを別の書籍、動画などで補完すると完璧です。
200ページほどで読みやすいので、とっつきやすい点もいいです。

特に面白かった所

もう一人の自分を演じる能力が、逞しく健康的な精神を保つことができるという論旨です。失恋したときに、もう一人の自分が見下ろして笑い飛ばしている。そのように、自分を俯瞰して客観視できる力がないと、人生は辛くなってしまうというのです。有体に言えば、失敗をネタにできる人は人生楽しいということですかね。
自分もよく失敗談を笑いのタネにして喋ることがあります。ただこれは精神を保つためというよりは、笑いをとりたい、相手を笑わせたいというエンターテインメント精神による所が大きいです。あとは「転んでもただでは起きない」精神もあります。失敗しただけで済ませるのはもったいない、何かに活かそうという気持ちがあります。どちらも関西人に多いとされる性質ですね。そういう意味では、関西人は人生を楽しめているといえるのではないでしょうか。

あと余談で書かれていたのですが、現代のおままごとで一番人気のある役が「母親」から「ペット」に変わったという話です。ペットは無条件で可愛がられるから、という理由だそうです。責任をとりたくないとする、現代を反映しているんでしょうかね。

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