『家事のしすぎ』が日本を滅ぼす

著者 佐光紀子
発行所 株式会社光文社
定価 本体760円+税

概要

「家事はきちんとやらなくてはいけない、丁寧な暮らしをしなくてはいけない」。日本ではそのような考えが根底にあり、そのプレッシャーは主に女性にかかっている。日本の女性が高等教育を受けながらも社会進出がしにくいのは、「高いレベルの家事を当たり前のものとして考えている」 ことが原因の一つではないか、という論旨です。
それを踏まえて、他国と家事状況を比較しつつ、過剰ではないかと思える日本の家事を挙げ、家事との気楽な向き合い方を提唱しています。

感想

「家事をしなくてはいけない」から、「そもそも家事しすぎじゃない?」という発想の転換が興味深くていいですね。

普段からある程度掃除してるのなら、年末の大掃除は必要ない、季節行事の飾り付けはいっそのこと諦める・・・。世間ではなく自分に合わせた生き方をするというのは、家事の労苦だけではなくストレスも減りそうで良いですね。
以前に紹介させていただいた『専業主婦と2億円』(橘玲著)でも、ロボット家電や家政婦を駆使して家事を外注化する、キャラ弁を作るなどの「凝った家事」をやめる、などの方法が挙げられていました。

ちなみに家事の分担や程度が家族間の争点となるのは、インターネット掲示板でも見られますね。「専業主婦なんだからこれぐらいはやって欲しい」や、「夫が家事を一切やらない」など、主に相手の家事レベルに対する不満です。
以前にテレビ番組で、芸能人夫婦が何組か集い、家事に対する不満を話すというトーク番組がありました。うろ覚えですが、夫側の家事が妻側の求めるレベルに達していないとイジられていたケースが多かった印象です。夫側がちょっと気の毒でしたね。明らかな夫側の不手際もあるでしょうが、おそらく家事に対しては妻側に主導権があるので、夫側が向こうのルールに合わせないと怒られるパターンでしょう。料理の味付けから皿の洗い方、洗濯物の干し方など、覚えることが多そうですね。

特に面白かった所

出した料理が美味しくないと言われたら、謝るのは日本だけ、という話です。美味しくないのは素材やレシピのせいかもしれないし、何より口に合わないのは食べた側の味覚の問題なのだ、というような考え方なのだそうです。作ってくれた相手への感謝もあるでしょうし、お互いの干渉を防ぐ意味もあるでしょうね。

また、外食文化の香港が、日本を抜いて長寿世界一というのも興味深いです。外食は体に悪いから、しっかり自炊しようという考えを覆す結果ですね。

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