『逆説の世界史2 一神教のタブーと民族差別』

著者 井沢元彦
発行所 株式会社小学館
定価 本体1650円+税

概要

仏教・キリスト教・イスラム教、この三つが俗に「世界三大宗教」とされています。このうちキリスト教とイスラム教は、多宗教の神を認めない一神教です。その特徴から、今日に至るまで諍いや争いが世界で起きてきました。
本著ではエジプトで興ったものの潰えてしまった一神教や、ユダヤ教、先に述べたキリスト教とイスラム教を比較などを交えながら解説しています。

感想

「逆説の~シリーズ」に言えることですが、内容が濃いです。要点を抑えて歴史を学びなおす、というタイプの本ではありません。歴史の出来事が起こった根底の思想及び過程を通じて、現在に及ぼす影響を理解する、という本です。教養をつけるというよりは、知識欲を満たすための一冊です。

今回は一神教に焦点を当てています。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教を主に解説しており、基本的な情報は最小限に抑えてあります。それでも、歴史にそこまで強くない人にはなかなかのボリュームで、読むのにパワーがいるでしょう。
基本的な歴史事項を押さえてから、著者の解説になるのですが、この解説がすごく面白い!

特に面白かった所

イスラム教社会で最大勢力を誇った「オスマン帝国」の衰退です。そもそも、かつて世界トップの文明を誇っていたイスラム帝国が、なぜ現在その勢いを失っているのかという著者の問いかけがあります。
前著でも、中華文明の衰退について述べておられました。

著者はキリスト教文明と比較し、「なぜイスラム文明が近代化に対応できなかったのか」を、「なぜキリスト教文明が近代化できたか」を足掛かりにして解説しています。その答えの一つとして、商売に対しての見解の違いを挙げているのですが、詳細は本著をお読みください。めちゃくちゃ面白いです!

また、イスラム教のスンニー派とシーア派、そしてカリフの解説が分かりやすかったですね。

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