著者 谷本真由美
発行所 株式会社朝日出版社
リンク
概要
店員に無理難題を言う、大声で怒鳴る、俗に言う「キレる老人」が話題に上がることが。昨今少なくありません。しかし、この現象は日本特有のものなのだとか。ロンドンと日本を往復して生活している著者が、イギリスの老人と比較して、日本の老人が暴走する原因、置かれている状況、改善策を論じています。
日本は英国と比べて、次の点で老人がキレやすい環境にあるとのことです。
- 職場以外に居場所がないので、リタイアすると暇を持て余す。
- 街や店の作り、テレビ番組が若者向けのため、馴染めない。
- 年をとることを否定的に捉えている。
- 若作りや、若者向けのイベントに参加すると、周りがひく。
感想
他の国と比べるという議題が好きなので、楽しく読めました。評論というよりは、エンタメに近い一冊です。
欧州では、老人が楽しめるイベントや公共施設が充実しているという点が興味深かったです。さらに、文化団体や公共団体のボランティアに老人を採用している点も素晴らしいですね。老人が満足できるサービスを受けることができ、供給側としても活躍することができる。まさに「成熟社会」といえるのではないでしょうか。
老人の暴走について、十把一絡げに「最近の老人は・・・」としてしまうのではなく、なぜ暴走する老人が目立つようになってきたのかを考えると、解決の糸口が見えてくるのかもしれません。
特に面白かった所
老人に対する固定観念ですね。老人に対するイメージで代表的なのが
- 大人しい、弱い
- 趣味は時代劇や盆栽、将棋など
- コンサートは演歌やクラシック
といったところでしょうか。
でもよく考えたらそんなわけないですよね。今のご老人は年の割に元気な方が多いです。演歌よりもフォークソング全盛時代に生きてきたでしょうし、「年とったから盆栽でもやるか」とはならないでしょう(笑)。老人というカテゴリ一括りで見ていたな、と反省しました。
特にオススメする方は
- 建設的に暴走老人の問題を考えたい方
コメント