著者 飯尾哲司
発行所 株式会社光文社
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概要
今回の書籍は、指導を受けた選手からの野村監督像をまとめたものです。
ID(Import Data)野球を球界に広めたことでおなじみの野村克也氏。名監督の功績は技術のみにとどまりませんでした。重要視していたのは、戦力及び人材の育成だったのです。
そんな野村氏の元で大きな成長、あるいは復活を遂げた四人の選手を取り上げています。
- 江夏豊=歴代最高左腕の一人。血行障害による握力の低下で、先発からリリーフへ転向。かの「江夏の21球」に代表される好投を見せ、抑えのエースとして復活した。
- 古田敦也=言わずとしれた「ID野球の申し子・球界の頭脳」。類稀な才能と、野村監督のマンツーマンによる指導で、球界を代表する捕手となる。
- 遠山奬志=元阪神のドラフト1位投手。一年目から8勝をあげるも、その後は振るわず千葉ロッテを経由して阪神にテスト入団。シュートボールを習得し、復活を遂げる。ゴジラ松井を抑え込んだ「松井キラー」。
- 山崎武司=豪快なスイングが魅力の「尾張のジャイアン」。中日時代に本塁打王を獲得する活躍を見せる。その後オリックスを経て、楽天に移籍。野村監督のアドバイスにより、野球に取り組む姿勢が変わる。結果、11年ぶりの本塁打王を獲得するほどの大復活を遂げた。
感想
野村克也氏の薫陶を受けた四人
すごく楽しく読ませていただきました。野村監督について書かれた著書はかなり読んできました。内容としては被ってくるものも多いのですが、選手側からの野村監督の指導がどのようであったか、という視点は珍しいと思います。野村監督から学ぶ啓発本というよりは、選手がどう感じていたのかを知って楽しむ娯楽本といったところです。
特に面白かった所
江夏氏への愛ある厳しい要求でしょうか。
バッテリーを組んでいた当時、野村氏のサインに疑いなく従ったら叱責される。「何でこのコースに投げるか、考えてほしいんや!」。
あるときは、リードに従って投げた一球を強打され、勝ち星が消える。「打たれてパ・リーグの野球を勉強せい」。
共通して言えるのは、黙って従うんではなく、自分の頭で考えてプレーしろという思いですね。これは野村監督の著書でも口を酸っぱくして言ってます。
あと、内容ではないですが、装丁の写真がとてもいいですね。2019年のOB戦で、野村監督が打席に立たれている1シーンです。
オススメする方は
- 選手が野村監督をどう思っていたかを知りたい方
- 教養ではなく、娯楽として読みたい方
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