著者 美達大和
発行所 株式会社主婦の友社
概要
類は友を呼ぶ。刑務所には、いろんな点で「残念な」囚人が集まっています。
61歳、無期囚として現在も服役中の著者が、これまで会ってきた「残念な」チョーエキ囚達を紹介します。
感想
無期チョーエキ囚の目から見た、チョーエキ囚達
まず、著者が現役の無期懲役囚であることに驚きます。罪状は殺人。二人を手にかけたとのことです。本自体を読む限りでは、博識であり、冷静で、自制心のある方に思えます。刑務所に入ってから、学びや気づきを得たのかもしれません。ちなみに書籍は10冊以上出版され、ブログもされています。別の本も読んでみたいですね。著者の人となりに興味があります。
さて、本の内容ですが、著者が懲役囚と会話して感じた、素晴らしいと思った所、逆に反省が見られない所などを、感想という形で記しています。
多かったのは、定職について毎日働きたくない、楽して稼ぎたいという思いから、窃盗や詐欺を犯したというものです。シンプルで分かりやすいですね。
中には、悟りを開いたかのように、我慢し続けて仮釈放となった方もいます。人格者なのですが、被害者に対して「申し訳ない」という気持ちがあまり見えなかった、というのが意外でした。自分の過ちへの反省と、被害者への懺悔はまた別なのでしょうか。
特に面白かった所
全体に言えることですが、著者の話し方や諭し方が、相手を導くようで、自分にも活かせるかなと感じました。相手の言い分を否定することなく、話を引き出すのが上手いです。
また、正論を押し付けず、相手が自ら気づくように諭します。オレオレ詐欺で老人から金を奪うことについて、「先がない年寄りの金が、自分たち若者の役に立つ」という言い分に、ドストエフスキーの『罪と罰』を例に出します。
齋藤孝氏の著者でもありましたが、の流れの中で引用ができるというのは、会話の内容を豊かにしますね。それができるようになるための方法の一つが「読書」。前に読んだ本の内容が、フィードバックされました。
オススメする方は
- リアルな刑務所を覗き見したい方(著者曰く、刑務所や受刑者のことを正しく書いているのは、安部譲二氏と見沢知廉氏くらいだそうです)
- 犯罪者、再犯者の心理を知りたい方、
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