『この世界の片隅に』

原作 こうの史代

ノベライズ 藤田陽平

出版社 双葉社

概要

第2次世界大戦中、広島の呉へ嫁いだ女性のお話です。

原作は漫画です。ドラマ化、アニメ映画化もされたので知っている方は多いのではないでしょうか。

感想

悲惨さがあまり感じられない

戦争がテーマとなると、悲惨な体験や反戦を訴えたような話が多いと思います。しかしこれはそういった事を主題においたものではないように感じられます(空気がガラッと変わるシーンもありますが)。戦争中でも庶民はそこまで変わらずに生きていく、という印象をうけました。

特に主人公の女性、すずさんがそれを印象づける人物です。おっとりとしている、悪く言えば抜けている所があるんですが、どこかたくましさを感じさせます。あっけらかんとしており、悲劇を演じるヒロインではありません。映画では女優の「のん」さんが声をあてておられました。物腰、声の柔らかさがピッタリで、まさに適役だったと思います。

ストーリーは全体的に淡々と進んでいきます。なので激烈な感動を覚えるような作品ではないかもしれません。戦時中は誰もかれもがで絶望的を感じていたわけではなく、このように前向きに強く生きている人もいたんだろうな、と思えるような作品でした。

あとこれは余談ですが、舞台が広島ということで登場人物は方言で喋ります。個人的にはここも好きですね(笑)。方言を標準語に直さずに、かつ伝わるように書いてくれている作品はありがたいです。

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